OpenAIのサム・アルトマン氏の解任を受け、前回はその背景にあると一部で言われている思想的対立について考察しました。
今回は、生成AIツールのユーザーと生成AIアプリケーション開発者は何を意識すべきかについてです。
とは言え、こんなことを書いている間に新たな事実が発表されて、全く違う対応が必要になったり今まで通りでよかったりという可能性もありますが・・・
情報に振り回されないように構えつつも何かあったら対応できるように意識しながらウォッチすることを前提に、仮説ですが下記のようなインパクトがあり得ると考えています。
- 規制・倫理的な基準の変化
- 品質・プロダクト方針の変化
- 新たなパートナーシップの可能性
具体的にどんなことが起きる可能性があるのか、みていきましょう。
規制・倫理的な基準の変化
- 規制の強化
データプライバシーやAI倫理のような分野で規制当局の注目が集まる可能性があります。結果、より厳格なポリシーが出来上がり、開発者がソリューションを構築する手法やユーザーが利用する方法に影響を与えることが考えられます。もちろん悪い面ばかりではありません。 - 倫理的なAI開発へのニーズ・プレッシャー増加
AIの倫理的課題への注目が高まり、ソリューション開発者、そして利用者側のポリシーにも、倫理的観点が強く反映される可能性があります。
品質・プロダクト方針の変化
- 人材流出・採用力低下
今回の出来事には批判的な社員の声も報道されており、人材流出のリスクが指摘されています。そうなった場合、技術向上とサポート品質が低下する恐れがあります。また、今回の問題により企業としての信頼性が損われ、優秀な人材の採用力に影響が出ないとも言い切れません。 - 製品開発の焦点の変更
新経営陣は、AIのリスク回避のため、倫理的なAI開発をこれまで以上に優先するかもしれません。ポジティブなケースでは、ChatGPTおよびGPT技術の利用により堅牢なガイドラインが適用され、アウトプットの倫理的リスクが軽減される可能性がありますが、一方では他の部分の開発速度が遅くなる可能性もあります。 - 価格・プランの変更
プロダクト方針の変更により、価格や提供機能などのプランが見直されるかもしれません。リソースが限られているユーザーや開発者は特に要注意です。
新たなパートナーシップの可能性
- 新経営陣の経験や繋がりの影響
暫定CEOのシェア氏とCTOのムラティ氏は、特定業界における経験を、アルトマン氏と比較すると持っているようです。例えばシェア氏はゲーム、ムラティ氏は自動車といった具合です。当然アルトマン氏も色々な業界との折衝を重ねていたと思いますが、新経営陣の経験や繋がりが、今後のパートナーシップの方向性に影響を与えるかもしれません。
以上、OpenAIの経営体制変更の影響を、生成AIのユーザーおよび開発者として何を意識して注視していくべきか、手短ながら考察してみました。
いずれにせよ、AI領域は、技術のみならず、思想や倫理観、規制環境、業界や組織構造まで、スピーディに変化しているということを改めて認識する機会でした。